★gooブログ【本を読もう!!VIVA読書】のミラーサイトです★
■■■TB・コメントはgooブログの方へいただけると大変うれしいです■■■

2006年06月30日

『小泉純一郎最後の賭け』 大下英治

■ gooブログ 本を読もう!!VIVA読書 の写しです■小泉最後のカケ.jpg

小泉首相は、カナダ・アメリカに卒業旅行中ですが、国民は、のちの歴史家はこの5年に及ぶ政権をどう評価するのか非常に興味があります。

良くも、悪くも大きな話題がいくつもありました。思いつくままに挙げてみても、

■ 北朝鮮に拉致を認めさせた
■ 自衛隊を海外に派兵
■ 郵政・道路公団の民営化
■ 靖国参拝を続けた
■ 旧橋本派など派閥を徹底的に破壊
■ 不良債権の処理
■ 郵政解散で総選挙の大勝

さらにキーワードだけだと、小さな政府、日米蜜月、抵抗勢力、格差社会、変人、パフォーマンス、骨太、構造改革、小泉チルドレン、などでしょうかね。(大きいものが抜けていたらご指摘を)
野党も、社民党や共産党がますます弱体化し、自由党、民主党が一緒になったり、かなり動きました。

本書は三年ほど前に出たものです。小泉首相と山崎元自民党幹事長、そして加藤紘一氏のYKK、中でも小泉、加藤の両氏を中心に描いた政界ドキュメンタリーです。それぞれの生い立ちから、小泉政権誕生の舞台裏など側近や家族、親戚などを丹念に取材して書かれています。

YKKにとって節目となる出来事、協和献金問題や山崎派旗揚げ、森首相に対する加藤(山崎)の乱、それぞれの大臣就任、そして加藤氏の秘書逮捕から議員辞職、その時々の会話などが詳細に生々しく描かれています。

全体を通して3人の描かれ方の印象は、
■加藤氏:政界有数の実力、人望もありながら、脇が甘い。天下取りをあせって墓穴を掘った。
■小泉氏:信念を曲げないことが良くも悪くも特徴である。政治的センスは天才的で、決断力も抜群にあるが、首相として必要な世界観や経済知識はあやしい。
■山崎氏:能力はともかく人を裏切らない。

450ページにも及ぶ大作ですが、好悪は別にして小泉政治に関心のある方なら、実に多くののエピソードや周りの証言、回想などが織り込まれていて、どんどん読めてしまうのではないでしょうか。大下氏の著作はどれを読んでも読みやすく、政治家が身近に感じられるものばかりです。


http://tokkun.net/jump.htm


『小泉純一郎最後の賭け』 大下英治
河出書房新社: 452 p: 1995円

■ 別のブログへ(ランキング投票になります)よろしくお願いします ■
にほんブログ村 本ブログへ 

ブログランキングBS blog Ranking
posted by VIVA at 12:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2006年06月29日

『パブロを殺せ』マークボウデン

パブロ.jpg
コロンビアの歌手フアネスのコンサートは熱狂的だったようですね。またワールドカップとコロンビアは切っても切れない因縁があります。ブラジャーを投げるのはよいかどうか知りませんが(笑)、コロンビアに世界の注目を集める良い機会ですから、応援したいです。

そこで本書を紹介します。

“コロンビア” で検索して出てくるのは、松井の退院が 『コロンビア病院』、映画、ダヴィンチコードの配給会社が 『コロンビア・ピクチャーズ』 ばかり(笑)。やけになって、“楽天トラベルで行くコロンビア”という宣伝が出てきたので、航空券予約を検索してみると、【該当なし】。

そうなんです。コロンビアの治安状況は、とても、一般人が観光で行けるような状況ではありません。ついでにニュースでは、確か、世界の麻薬の8割を生産していると…。

その麻薬カルテルの中心にいた人物が、本書で扱う “パブロ・エスコバル”です。世界で10本の指に入る大富豪で、世界最悪の指名手配者でもありました。金と麻薬と暴力で、国全体を支配してしまったような人物です。先日、『食肉の帝王』の浅田満氏を、“想像を絶する大物” と紹介しましたが、パブロには形容する言葉が見つかりません。

本書は、“パブロ率いる麻薬組織”VS“コロンビア・アメリカ特殊部隊”の戦いを描きます。治安の悪さを示すエピソードはいくらでもあります。何年か前、日本テニス協会も、国別対抗のフェドカップを、不戦敗承知で、コロンビアでの試合を棄権したほどです。

1986年のFIFAワールドカップはコロンビアで開催予定でしたが、経済の悪化を理由にコロンビアが開催を返上。というのは表向きの理由で、実はコロンビアのサッカー界で殺人などの凶悪事件が発生したため、FIFAが開催の中止を決定しました。

実際94年W杯アメリカ戦で自殺点をしたDFエスコバルが射殺されたのが有名な事件で、2001年にも元代表のDFがまた射殺される事件が起こっています。コロンビアというのはいまだに、いつ血の雨が降っても不思議ではないんです。

実は現在も大統領選の真っ最中ですが、選挙になると、麻薬組織がからみ、あちらこちらでテロや誘拐が頻発します。2002年に現政権ができ、犯罪は減っているといいますが、2003年、日本人が、誘拐されたあとに、遺体で見つかるという悲惨な事件があったことをご記憶でしょうか。

パブロは、自分でもプロサッカーチームや新聞社などを持つまで至る影の実力者です。その生まれから、どのように勢力を伸ばしたか。またアメリカが、自国への麻薬流入防止や、共産党ゲリラ撲滅のために、特殊部隊を投入してまで、パブロを捕まえにかかります。そこで繰り広げた血みどろの戦いを詳しく書いた迫力あるノンフィクションです。

外国の特殊部隊にまで頼らざるを得ない、という事実が、コロンビアの危機的状況を説明しているというものです。パブロは、表向きは犯罪者ですが、一筋縄ではいきません。逮捕されたとしても、国際社会に向け、“逮捕” という形をとるだけで、警察、軍人、政治家を買収したり、おどしたりして (家族の誘拐、爆破テロなど) 何と、自分専用の建物で豪華な“ムショ暮らし” をしていて、むしろそれまでより安全に、麻薬の売買をしていたというから信じられません。

とうとうクライマックスで逃げ出したパブロを撃ち殺した後、なんと、まるで大カジキを釣り上げたかのように、パブロの遺体を前にして、幹部が記念撮影した写真が載っています。そして、現在もそうですが、残念ながら、第2・第3のパブロが、その遺した利権をねらい、戦いを繰り広げているのです。


http://tokkun.net/jump.htm


『パブロを殺せ』マークボウデン
早川書房:393P:2625円

この記事は、gooブログの “本を読もう!!VIVA読書” を書き直したものです。


にほんブログ村 本ブログへ

ブログランキング
ブログランキング
posted by VIVA at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

★ 入試に出題された本 N0.2 ★

前回の 『入試に出題された本』 また、『教育に関する本』 の特集に関しまして、さまざまなご意見、ご質問などをいただきました。もっと紹介して欲しいとのご要望がありましたので、とりあえず当教室の講師陣が注目した書籍、5冊を追加いたします。


『その日のまえに』 重松清著 (文藝春秋 1500円)
★芝中学・筑波大附属中学など出題★
その日の前.jpg 重松氏の本は中学入試に毎年のように出題されている。しかし本書が出題されるとは・・・というのが率直な感想である。その内容は生と死をテーマにした、短編から成っており主人公も大人が中心なのである。泣けるという評判の本書であるが、意図的に泣かせようとする感じはなく、淡々と死をテーマに日常を書き綴ったもので、それだけに好感が持てる。また短編それぞれが独立しているように思われるが、実はカラクリがあり、凝っている。親子で読んで、感想を語り合うには最高の一冊だと思う。


『希望格差社会』 山田昌弘著 (筑摩書房 1945円)
★北海道大学法学部出題★
希望格差.jpg 日々の勉強、仕事、暮らしに追われていると、社会を俯瞰するということがなおざりになってしまいます。親の所得格差が子どもの教育に重大な影響を与えることをデータで示した苅谷剛氏、ベストセラー『下流社会』を著した三浦展氏などのおかげで格差というものにかなり注目が集まるようになって来ました。山田氏はより広範にデータを収集し、格差の正体は『お金』ではなく『希望』であること、さらにその対処法を提言します。気鋭の社会学者が、ニューエコノミーの時代に何が起こっているのかを鋭く分析した一冊です。来年もこのテーマは必ずどこかで出題されます。


『取材学』 加藤秀俊著 (中公新書 660円)
★慶応大学法学部出題★
希望格差.jpg 本書は1975年に初版が出ていますが、内容は極めて新しく、情報教育=メディア・リテラシーを意図して書かれています。慶応大学法学部で出題されたものの、一部小学生対象の教材に使われるなど、どの年齢の方が読まれても参考になると思います。特に大学生がレポートを書く際には入門書として使えるでしょう。大学の授業はつまらないなどとぼやく前に本書を読めば、「先生の使い方」が一発で分かります。


『女子マラソン』 宇佐美彰朗著 (ちくまプリマーブックス1155円)
★鴎友学園女子中学出題★
ン.jpg 女子マラソンの世界記録は2時間15分25秒です。日本人では野口みずき選手、高橋尚子選手が2時間19分台の記録をもっています。一昔前まではそれほど強くなかった女子マラソンが、最近は選手層が厚くオリンピック選考レースはどの大会も本番並みの激戦です。この本ではこれだけ記録が伸びた理由を中心に、マラソン選手が走っている間、いったいどういうことを考えながら走っているかということも書かれています。マラソン選手には小柄な選手が多く、どこに42.195kmも走るパワーがあるのかと思わされますが、本書を読めばわかります。


『Jポップとは何か』 烏賀陽弘道著 (岩波新書 780円)
★中央大学経済学部出題★
Jpop.jpg バブル景気の最盛期である88年末から89年当時、邦楽を一切かけることが無かったFMラジオのJ−waveにおいて、邦楽をかける際に「Jポップ」という名前が生まれました。そもそも「Jポップ」とは単純な音楽ムーブメントではなく、レコード会社が販売促進を目的とするキャッチコピーとしての「ジャンル名」、あるいは購買動機となる価値を持たせた「ブランド名」として生み出されたものでした。このJポップの成長に絡むレコード会社、放送局、一般企業の戦略や、メディア、再生装置などの技術革新による音楽の視聴方法の変化など、ただ、音楽文化の変化を紹介するのではなく、その時代の社会や経済の動向が記されています。ポピュラーな固有名詞が多く出てくるため、社会、経済には疎い生徒でも非常に興味深く読み進めることができます。


http://tokkun.net/jump.htm


ブログランキングに参加しております。なるべく多くの方に見ていただきたく、よろしければ、↓のバナーのクリックをお願いいたします。    

にほんブログ村 本ブログへ 

人気ブログランキング【ブログの殿堂】
BS blog Ranking
posted by VIVA at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

『ジーコ セレソンに自由を』増島みどり

zi-ko.jpg 日本サッカー界では、すでに4年後に向けて、新監督“オシム”という名前があがっています。結果がすべての世界ですから、期待を裏切ったジーコ監督の評価が低いのは仕方ないですね。中田選手は、試合終了後寝転がっていたのが、かなり批判もされてしまいました。

ジーコが現鹿島アントラーズ、かつての住友金属に入団したのが1990年ですから、日本に来てもう16年。どれほどジーコが親日家かということは、こちらに出ています。⇒ジーコ(wikipedia)

本書はジーコの監督就任時から、筆者が節目節目におこなったジーコへのインタビューと、最後には、川渕キャプテン、中田選手のジーコに関するインタビューが収録されています。題にある 『セレソン』、これはポルトガル語で国の“代表選手”のことだそうです。

鹿島時代に手取り足取り選手を指導していたはずのジーコが、代表監督になると、細かい指示をせず、選手は戸惑ったそうです。ジーコにとって選ばれしセレソンとはそういうもの。自己管理を完璧にして、国のために戦うのだと。セレソンに対する敬意がそのまま、日本代表選手に対する指導方法に表れているのがわかります。

トルシエが選手に体をぶつけ、怒鳴り散らし、彼らを一人前扱いしなかったのとは対照的です。トルシエが海外のマスコミに流した、中田に対するコメントです。

『ジダンはサッカーを心から愛している。公園でもし出会ってサッカーをやろうと誘えば、すぐに何時間だって楽しむだろう。しかし中田は違う。もし中田に公園でサッカーをやろうと誘ったら、彼はまずマネージメント会社に電話するはずだ。いくらでやっていいですかと』


筆者はここらあたりが、中田に代表辞退を決意させた遠因ではないかと推察します。トルシエは、“リーダーはいらない”と、他の選手にも厳しい人格批判を浴びせました。以前『山本昌邦備忘録』でも紹介しました。

ジーコは選手を信じきっています。自分の選手を見る目にも自信を持っていますから、少しのミスでは選手を入れ替えません。見ていてイライラするほど、同じ選手にこだわりますよね。選手は自分を信頼してくれたジーコのために勝ちたいと思っているようですが…。

本書を読むまでは、ジーコと長島元巨人監督がダブりました。つまり名選手、必ずしも名監督にあらずのような。長島氏は圧倒的なファンの支持がありながら、なかなか結果が出せませんでしたが、采配に対して激しい批判は聞かれませんでしたね。マスコミも含めて。取り上げられるときも、監督としての能力よりもキャラクター。個人的に長島は大好きでしたが、監督としてはやはり…。彼の言葉はディフィカルトで、イージーにアンダスタンドできませんでした(笑)。

ジーコは違います。サッカーや日本代表に対する考えは明確に述べられています。中田選手ははっきりジーコで無ければ代表辞退を明言していました。自分を殺して戦うトルシエ式のサッカーはできないと。セレソンを最大限尊重するジーコの考え方と、中田のサッカー観は似ているわけです。

中田はジーコを完全に信頼していますが、トルシエ式のディフェンスも、日本にあっていると高く評価していて、それをかえてしまったのは、残念だとも語っています。結果、残念なことにジーコの理想に近いパフォーマンスをするには、中田以外は、力も経験も足りなかったのだなという印象を受けます。

ワールドカップの結果がわかってしまった今、本書を読むのは何とも悲しいですね。とにかく、ジーコは金銭抜きでも日本のサッカーに貢献したかった。ジーコのためにも勝たせたかったなぁ、と強く思ったしだいです。


http://tokkun.net/jump.htm


『ジーコ セレソンに自由を』 
増島みどり講談社:270P:1785円

  ■ 別のブログへ(ランキング投票になります)■
にほんブログ村 本ブログへ 

人気ブログランキング【ブログの殿堂】
posted by VIVA at 03:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記