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2007年06月30日

中学生/高校生諸君! 社会定期テスト:時事問題対策!1学期期末



3学期制の中学・高校はそろそろ1学期の期末テスト。

何度でもいうけれど、特に中学生、定期テストは

本番の入試のつもりで臨もう!

たくさんの人に見てもらいたいから

genio先生のブログ からコピーさせてもらいました。

このくらいはできて欲しい!試験前日はここからもっと深めるんですよ。


【消えた年金問題】 

5000万件を超す年金保険料支払い記録が不明になり、払ったはずの人に不利益が生じる可能性が。 

その結果、安倍内閣の支持率は発足以来最低にとなり、不支持率が支持率を上回っている。

(@   )月(A   )日に予定されている参議院議員選挙にも影を落としている。

参議院選挙 47選挙区(B   )人/比例代表(C   )人 (D   )年

※3年毎に半数改選 



【プロ野球裏金問題】

 (E   )が選手獲得のために裏金を供与していたことが発覚。 高野連が禁止している特待制度も問題化。

 【公務員人材(F     )】


中央省庁OBが再就職する際には(F     )が一元管理し、省庁のバックアップをさせない制度です。(G     )防止策だというが。。。 


【衆議院(H     )議員宿舎問題】 


相場50万円のマンションに9万2千円で入居できる議員宿舎の条件に批判が出た問題 


【(I     )日規定見直し問題】 


離婚後(I     )日以内に生まれた子どもは前の夫の子と推定する民法772条の規定の見直しは結局先送りに 

【(J     )大流行】 

首都圏を中心に高校生や大学生など若い世代に流行 

【統一地方選挙神奈川版】 知事:(K     )成文(現職) 


☆解答は当教室HPの 「先生教えて」掲示板 にUPしますので、そちらをご覧下さい。 


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2007年06月29日

『日本マスコミ「臆病」の構造』 ベンジャミン・フルフォード


日本マスコミ臆病.jpg

 


朝鮮総連の中央本部の売買をめぐる詐欺事件で緒方重威・公安調査庁長官が東京地検に逮捕されましたね。この取引には、元日弁連の会長というもう一人の超大物までかかわっていたそうですが、よくわからない事件です。

菅義偉総務相は、「日本人拉致事件に関連のある朝鮮総連に関係すること自体が公職にある者として慎むべき問題だ。このような事件に発展したことは、公安調査庁の存在そのものが国民から問われる重大な事態だ」 と語り、私も確かにその通りだと思いますが、今回の詐欺の被害者は朝鮮総連になっています。


当初は朝鮮総連を救うために違法な行為を共謀してやったということだったと思いますが、それなら管総務相の指摘通り重大事態です。朝鮮総連側が巧みに大物を抱きこんだ事件だったはずですが、今度は総連側が詐欺にあった被害者という構図に変化しています???


昨晩、逮捕・起訴は免れないことを予期した緒方氏が、逮捕直前の単独インタビューをテレビで行い、“今回の事件(逮捕)は官邸主導だ” というのですが、それもよくわからない説明でした。

これまで何度も腑に落ちない事件がありましたが、そういう場合は、権力側と大手のマスコミの間に共通利害のようなものがあって、めったに真相が表に出ないという気がしますが、今回も何かいやな感じの事件です。事件の背景に関して、マスコミからはいまだ、納得のいく報道がありません。


以前ご紹介した、『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』の著者、ベンジャミン・フルフォード氏が、本書では日本のマスコミについて、大いに批判的に書きました。こういう事件があると思い出す一冊です。


そもそも、かつて氏が日本のマスコミ(日経新聞) に籍を置いて、ヤクザ関連の記事を書くことを上司に止められたのが、その活動の原動力になっているかのようです。

よく批判される記者クラブの制度の問題点はもちろん、なぜそういうものを守る勢力が日本には強いのかということに言及します。そのしくみを温存したがっている勢力は大手マスコミや官僚に限らず、裁判所や警察までふくまれていると指摘します。

そう言えば、本書に出てくる武富士。拙ブログでも、その問題点を鋭く突いた一冊『武富士サラ金の帝王 (溝口敦)』 を取り上げましたが、その悪徳ぶりをひどく批判していた朝日新聞が、武富士から高額の広告宣伝費をもらっていたことがかつて報道されましたね。

警察までもが、不祥事を告発したジャーナリストや闇とつながっていると思われ、武富士の会長のインタビューが掲載されています。こうなると、いったい正義はどこにあるのかと絶望的な気分にすらなります。

目次は以下のようなものです。


1 人質
2 小泉純一郎
3 記者クラブ
4 皇室
5 武富士
6 NHK
7 ソニー&松下
8 差別
9 住専
10 堀江貴文
11  私はこうしてジャーナリストになった



一口に言えば、日本のマスコミはみんな臆病だと言っています。

皇室報道は最も典型的だそうです。その点においては週刊誌や右翼の街宣車の方が真実を伝えている場合が多いとも述べています。 マスコミだけでなく、国全体が悪に覆われてしまっている印象で、日本人にはおそらく書けない内容でしょう。

とここまで書いて、いや宮崎学氏が 『地下経済ーこの国を動かしている本当のカネの流れ』 を読んで、本書と似たような読後感を持ったことを思い出しました。

いずれにしろ、非常に刺激的な本で、マスコミの問題点に興味のある方にはお薦めします。

ただ、上に挙げた “アルゼンチンタンゴ〜” や、そのあとの 『ヤクザリセッション』を読んでいる人にとっては、重複する部分が多いため、新鮮さに欠けるとの印象は否めないのではないでしょうね。 

もう一つ…、ベンジャミン・フルフォード氏は先日取り上げた、『
さらば外務省
』の著者、夏の参議院選挙に出馬を表明した天木直人氏を応援しているようです。また、創価学会に関しても 『イケダ先生の世界』 という著作があります。





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増補・改訂 日本マスコミ『臆病』の構造
                                                
                                                宝島社
                                                
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 創価学会・9.11テロなどについても著作があります。


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2007年06月28日

『雨鱒の川』川上健一


雨鱒の川.jpg


本来は中高生以上にすすめしたい本なのですが、最近は中学入試でも従来の教育的、道徳的内容ばかりではなく、本書のように恋愛を扱ったものが出されますね。

女の子はともかく、男子生徒の中にはよく分からない子もいると思うのですが…、がんばってもらいたい(笑)!

実際に、本書は川上健一氏の作品の中では、『翼はいつまでも』 と並んで、ほぼ毎年のように、どこかの中学校で出題されています。


小学生でも読めるということですが、大人が読んでも素晴らしい内容で、思わず涙が出そうになってしまいます。つい先日ご紹介した 『夏の庭 The Friends (湯本香樹実』 も同様ですが、児童文学に分類されていても、名作というのは大人も感動させる力を持っているものです。

本書も映画化もされていますし、ご存知の方も多いでしょう。いわゆる純愛物です。二部に分かれていて、前半が主人公が小学生の時代で、後半は18歳に成長しています。


ストーリー■〜■ 



東北のとある村。母親と二人暮らしの小学校三年生の心平は、川で魚を捕ることと絵を描くことにしか興味がありません。学校の授業もそっちのけで絵を描いていますから、成績が良いわけはありません。

学校が終わると今度はすぐに川へと走って魚を捕ります。母親に捕った魚を食べさせるため。そしてまた絵を描いて寝る。そんな普通の小学生とは違った毎日を過ごす心平といつも一緒にいるのが幼なじみの小百合。

小百合は耳に障害がありましたが、心平とは心が通じ、心平の話す言葉だけは理解ができたのです。どちらも “普通” の子どもではないのですが、二人でいるときは暖かい交流、楽しい時間を過ごします。

そこに登場するのが小百合に思いを寄せるライバル、上級生の英蔵で、心平にはかないませんが、第二部でも重要な役を演じます。

ある日、心平の絵が国際的な児童画展に入選するのですが、その祝賀会の夜、なんと心平の母ヒデが雪の中で死亡してしまい、心平は幼くして、天涯孤独になってしまいます。

それから十年後、18歳となった心平は学業も仕事も大してできず昔のままですが、何とか小百合の父親の会社で面倒をみてもらいます。一方の英蔵は大学を出て、仕事もできる。小百合の父親にも認められ、とうとう二人に縁談の話まで出てきてしまいます。

絵を描くことしかできない心平は、本格的に絵の修行に出るように、村の人々にすすめられますが、彼らからすれば、村の厄介者払いに過ぎません。心平にとっても絵を描くことで自立できれば理想ですが、しかしどうしても小百合と離れて暮らすことができません。小百合の気持ちも同じです。

心平さえいなくなれば、英蔵と小百合の縁談話が現実を帯びてくるのですが、結局は、心平と小百合のきずなの深さを知った英蔵が覚悟を決めます。二人を船に乗って駆け落ちを助けてしまいます。




これ以上ないくらいの純愛物語ですから、やはり小学生男子には苦手な人もいるかもしれませんね。また自然描写もふんだんにありますから、先を急ぎたい人にはまどろっこしく感じるかもしれません。

しかし、逆にそれが非常に豊かな自然とけがれのない純粋な子どもの心を描いており、すがすがしい読後感を味わう人が圧倒的に多いでしょう。前半は特におすすめですね。

なまりのある方言で話しているのですが、慣れてくるとそれが切なく響きます。特に心平と小百合の言葉のやり取りの部分など、不自由な言語を通して相手の意図を汲んでやる場面は心動かされます。




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2007年06月27日

『空からやってきた魚』 アーサー・ビナード


空からやってきた魚.jpg


著者のアーサー・ビナード氏をご存知でしょうか。アメリカ人の詩人なのですが、日本語での詩集、『釣り上げては』 で、なんと中原中也賞を受賞してしまうほど、日本語になじんでいる方です。

この方、イタリア語も短期間遊学しただけでマスターしているそうですし、日本語にいたっては大学で、卒論を書く際にはじめて触れ、その日本語に魅惑されてから始めた日本語学習です。言葉の天才でしょうね。


本書はエッセーです。こういう言い方はどうかと思いますが、読み終わって、本書そのものというより、この作者がおもしろいと感じました。やっぱり天才詩人は目の付け所が違うというか…、変わっているというか…、何でもないものに眼を向けますし、そこからいろいろなことを夢想したり、自由に論じたりします。

“好奇心旺盛” という言葉から想像するレベルを越えているのではないでしょうか。死に装束を着てみたり、真夜中の池袋へ行ったり、アメリカでは嫌われものの銀杏や虫が気になってしまったり、とにかく神出鬼没、縦横無尽に頭も体も動く印象です。


アメリカでの思い出なども書かれていて、著者が幼いころから言葉に非常に敏感であったことを感じさせますが、言葉だけでなく、ありとあらゆるものに関心を示しています。



            1章
 初めての唄(なに人になるか;初めての唄 ほか)
            

            2章
 空からやってきた魚(団子虫の落下傘;ビーバーと愉快な仲間たち ほか)
            

            3章
 地球湯めぐり(いま何どきだい?;地球湯めぐり ほか)
            

            4章
 若きサンタの悩み(共和国の蛙に忠誠を誓う;林檎や無花果、アダムの臍 ほか)
            

            5章
 骨の持ち方(忘れる先生;アライグマと狸 ほか) 


書名の『空からやってきた魚』は、日本に来た自分を例えたものです。


本書の中で、時々筆者の作った“歌”、川柳のような短歌のようなものが書かれています。例えば…

   新聞の勧誘くれば日本語の 二の字も知らぬガイジンとなる ” 

と、これは笑えるものですが、

  “ 川の瀬に捨てられし古き自転車を 隠すがごとく落花群がる ” 


というのもあります。全編ユーモアの精神を失わず、アメリカ人が見た日本の魅力やカルチャーショックを受けたところが淡々と、時におもしろく書かれています。
 
本書を私が読んだきっかけは、NHKラジオで本書が朗読されていたのをおもしろく聞いたからでしたが、今、調べて見ますと、新しいエッセイ集 『日本語ぽこりぽこり』 というのがすでに出版されていました。

私は未読ですが、こちらの目次は


1 海を挟んでつれション

2 メロンの立場

3 夜行バスに浮かぶ

4 鼾感謝祭

5 ターキーに注意

6 おまけのミシシッピ


となっており、言葉中心に40のエピソードが紹介されているそうです。おそらく内容は似ていると、勝手に想像しますので、まことに無責任ですが(笑) こちらもいいかなという感じがいたします。

 

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空からやってきた魚
            
            草思社
            
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日本語ぽこりぽこり
            
            小学館
            
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2007年06月26日

『63歳・東京外語大3年 老学生の日記』 坂本武信


63歳・東京外語大3年 老学生の日記.jpg

 

筆者は1943年生まれですが、現役の大学生。慶応大学卒業後、保険会社に36年間勤めますが、急性心筋梗塞で生死をさまよったのを機会に、定年前に退職します。これから第二の人生をどう過ごそうかという時に、妻に言われたのは… “家にいないで!濡れ落ち葉はお断り!” す・すごい。本書の表紙は落ち葉でしょうか(笑)。

さぁどうしたものかと、特に深く思案することも無く、ネットで見つけた東京外国語大学の社会人入試を受けて合格。これまたまったくの偶然にポーランド語を選択し、自分の子どもよりはるかに年下の生徒、あるいは自分より若い先生との学生生活を始めます。


まぁ、ここまでの事情を読んだだけでも、どんなエピソードが出てくるんだろうと期待できると思いませんか。18・19歳が20人ほどいるクラスに、60を越える老学生が一人、教室に同じ身分で座っているわけです。

実際に読んでみますと、期待を裏切らないおもしろい話がいくつも披露されています。大学に入った以上はコンパもあるし、学園祭やテストや夏休みだってごく普通にあるわけですから、エピソードには事欠きませんよね。


そもそも大学でポーランド語を専攻しようとする学生がどういうタイプの人なんでしょうね。英語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語、ロシア語、スペイン語くらいまでは何となくわかりますが…。私のような凡人には想像のつかないような人々がいるのではないかということも興味をそそられた原因かもしれません。

筆者の場合は、単に一番最初に入試で面接ができたのがポーランド語学科の教授だったというだけで、ポーランド語を選択し入学してしまうのです。

これに象徴されるような、筆者のこだわりのない姿勢。風の吹くまま、気の向くままという開き直った態度というか、悟りでも開いているかのような自然な生き方はきっと周囲の人からも好感を持って迎えられたのではないでしょうか。次々と起こる年齢ギャップゆえの “事件” なども楽しみながら、軽々と受け入れている印象です。

目次は以下のようになっています。



            大学生活(退職そして大学へ;現役学生になる;若い仲間達)
            
            わがポーランド(初めてのポーランド語学研修;再びポーランドへ;余談;三たびポーランドへ)
            
            老学生の目(賞味期限;よ〜く考えると;妻と娘と)
 


“団塊世代に贈る、脱会社・脱女房宣言!” なんて宣伝文句が書かれていますが、世代を超えておもしろい一冊です。

筆者は保険会社のサラリーマンだったわけですから、もちろん文筆家ではなく素人のはずですが、まぁ、才能があるのでしょうね。ユーモアを交え読みやすく、読者に不快な思いをまったくさせないような文章に感心しました。


筆者のおかげでポーランド学科の同級生たちの大学生活がどれだけ豊かなものになったでしょうか。未知のものに直面すれば、普通の大人は興味より不安の方が大きいと思うのですが、筆者の場合はむしろ好んで未知との遭遇、偶然を求めているかのようです。

結局、縁もゆかりもなかったポーランドに三度も行き、そこでも持ち前の自然体と好奇心で、多くのおもしろい、時に感動的な経験をします。確かに失敗談もあるのですが、それをユーモアたっぷりに受け流し、良い経験をさせてもらった、勉強になったと喜んでいる姿勢に心惹かれます。


読み始めた当初は、リタイアするとこんなにも人は自由に生きられるのかと思ったのですが、やはりそれ以上に筆者の上で述べたような性格がそれを可能にしているのだと感じました。

団塊世代どころか、高校生諸君にもぜひ読んでもらいたいエッセイです。勉強の違った意味が感じ取れる人もいるでしょうし、大学が単に就職準備のためのサラリーマン養成所だけではないことがわかると思います。


こうして楽しんで勉強している姿は非常にすがすがしく、私にもし二度目の大学生生活があれば、きっとうまくやれそうだ、そんな気にさせてくれました。

 

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63歳・東京外語大3年 老学生の日記
            
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2007年06月25日

『ほんとうの英語がわかる- 51の処方箋』 ロジャー・パルバース 


ほんとうの英語がわかる.jpg

 


講師や生徒のどちらにも薦められる英語の本というのは大変貴重だと思いますが、本書はそんな一冊です。

自分が英語を教える上で、参考になった本は数知れずあり、その中でもっとも印象深い一冊として、荒木博之氏の 『日本語が見えると英語も見える −新英語教育論』 をつい先日取り上げました。記事にしたばかりですから、繰り返しませんが、実にすばらしい観察、理論だと思います。


他にもどうご紹介したら読んでいただけるのだろうという本があるわけですが、荒木氏の本同様、やや専門的なので、英文科を目指すのならともかく、一般の受験生には薦められません。どうしても英語を学んでいる生徒より、教えている先生方にお読みいただきたいと思うものが多くなりますね。

私のgooブログの左、にある “カテゴリ” というところ。その中にある “英語一般書籍” とは、そんな本のことです。つまり、生徒が目標にしている受験とは直結していないけど、より広い意味で英語学習に参考になるという書籍です。

教師だけでなく、生徒が読んでもすんなり楽しめたり、役に立つもの。本書のように筆者が日本をよく知っている外国人である場合、そんなおもしろい本が多いように思います。

以前、取り上げました、デイビット・セインの 『その英語、ネイティブにはこう聞こえます』 もそんな一冊です (How are you? はネイティブには 『ごきげんいかがでござる』 と聞こえるのだそうです(笑)。) で抜群におもしろいのですが、本書の方がより本格的というか、楽しむというより勉強しましょうよ、と優しく語りかけているような内容です。


外国語習得の目的はさまざまです。受験に向けてひたすら文法から勉強するのも大切ですが、そのことばを話す人たちの心の中に入り込み、その人たちの考え方を深く理解する、ということも欠かすことができません。


私が英語を教えるのは、大学受験生ですし、そのためには現在、公教育で軽視されがちな英文法はとても大切だと思っています。ですからよく耳にする…


 “ I am a boy.”  とか “This is a pen.”  などという例文に対し

“どこの世界に、「私は少年だ」 とか、「これはペンです」、とあらためって言うか!”という批判には、与しません。これは先日取り上げた 『灘高キムタツの国立大学英語リーディング超難関大学編』 に掲載された私のコラムの中で、伝えたかったことです。

つまり、そもそも我々は、ネイティブではないので、ある程度、英語も、さまざまな文をもっとも抽象化した数学のようなものとして理解していった方が、大学受験の英語学習には有利だということです。大学に入っても英字新聞を読みたいのならそれが効率的だと考えています。

ただし、もちろんそれも程度問題で、コミュニケーションのツールとして英語を使うには、やはり机上の数学とは異なる、“現場” を知らないと役立ちません。この本では、そのような 「ネイティヴの発想」 を理解することを主眼に置き、とくに大切な51の単語について解説が進められています。

授業で “ネタ” になりそうな話題が数多く、読んでおけば必ず、授業でも、外国人と接する現場でも役立ちそうです。


以下のような単語です。


 I
 you
 to mind
 to recognize
 to offer
 to afford 
 company
 to owe
 to miss
 to interrupt
  God 
〔ほか〕 


どうでしょう。この単語群を見れば、大学受験の英語を教えている立場の人ならば、すぐに受験にも役立ちそうだと気付いていただけると思います。大学入試でさまざまなタイプの問題で頻出の単語が並んでいますね。

著者パルバース氏は劇作家や映画の仕事もされているそうで、例文、解説が面白く、しかも1冊で一つのストーリーという感じにまでなっています。もちろん辞書のように途中にある、気になる単語だけを読んでも勉強になります。


生徒も講師も、何回も読んでマスターしておきたい内容が詰まった本だと思いますので、多くの人に有益な一冊です。 



P.S. パルバース氏が本書を執筆していた当時のコメントをネットで見つけました。よろしければご覧下さい。

   ⇒ 『ほんとうの英語がわかる

 

ほんとうの英語がわかる―51の処方箋
                        
                        新潮社
                        
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2007年06月23日

吉野秀先生の読売新聞コラム 『できる人の「書きかた」「話しかた」 伝えたいことを確実に伝える表現力』



人気の スットコくん6月号 で、当教室の吉野先生のことを、


 “『笑っていいとも!』にタモリさんと一緒にレギュラー出演していた” 


とご紹介したのですが、ちょこっとそう書いただけで、生徒たちから反応がすごくて驚きました。『えっ、どういう人?どういう人?』 という訳ですね(笑)。やっぱり人気テレビ番組の力は偉大ですね。



笑っていいとも.jpg



そこで、本来は先生のご著書 『できる人の「書きかた」「話しかた」』 が 夏休みの読書感想文などの参考にもなるかなと思いまして、7月の夏休み前に取り上げようと考えておりましたが、予定変更で、今回は吉野先生が読売新聞で連載されているコラムをご紹介しましょう。


吉野先生は、
当教室 では、高校生の小論文対策や現代文を中心に、小・中生の作文指導などを担当しております。もともとは、編集の世界の経験を活かし、読む・書く・話す"能力アップの手法を徹底研究する言語表現の達人です。


まずは連載コラムの第一回を取り上げます。どうぞお読み下さい。



■■■ 「うまい文章」よりも「わかる文章」を : 吉野秀(よしの・すぐる)■■■


先日、大阪へ出張したとき、約10年ぶりに有力企業の経営者と新幹線内で会った。

 氏は開口一番「何かもうかる商売はないですかねえ」。私は腹の中で「そんなもんあれば、誰でもやっているよ」と思いながら、「いやあ、こちらこそ教えを請いたいですよ」と皮肉な大人の言葉で切り返した。

 しばらく話していると「今、悩みがあるんですよ」と氏が打ち明ける。文章を書く機会が増えたのに、うまく表現できないというのだ。

 文章はきれいに、うまく書くのが目的ではない。

 読み手へ伝えたいことをわかりやすく、簡潔に投げかける。

 そして、理解・納得してもらい、「なるほど、その通り」と合意を得る表現手法の一つ。

 口が達者なセールスマンが優秀な営業成績を収めるとは限らないのと同じように、美文が人を引きつけるとは決して言い切れない。

 武骨だったり、口数が少ない人であっても読み手の心に訴え、記憶・印象に残る文章にこそ価値・意義がある。


 採用意欲の高まりは続いており、「応募者増でエントリー・シートや作文、自由論文による一次選考はもっと活発化しそう」(複数の人事担当者)の声が相次ぐ。

 これに合わせ、脚光を浴び始めたのが作文・論文を課題にした就活塾だ。

 大学教授やマスコミ関係者、校正者などを講師に招いての講義に数多くの大学生が参加する。

 うたい文句は「短期間でプロの文章力に近づける」「うまく・速く書けるテクニックをマスター」……。ここでもまた、キーワードは「うまさ」だ。

 アマチュアの叫びを企業は待っているのであって、作家センスを求めるところは皆無だろう。これを見誤ってしまうと、とんだ方向違いになる。

 冒頭の経営者にも共通して言えるのは、「何を言った方が良い」よりも、「何を言いたいか」の具体化。文章の眼目はここにある。

(2007年3月9日 読売新聞)

■■■



もちろん当教室で吉野先生の授業が受けられます。どのコースも生徒は3人までの個別指導です。

    ⇒ 
吉野先生の講座


さまざまなコースがありますが、曜日、時間の都合が合えばいつでもOK、無料体験授業もあります。

あっ、VIVAの授業 もお忘れなく(笑)。


P.S. もひとつ、“あっ、” 
灘高キムタツ先生もそのうち特別授業をしていただけるかも…。飲んだ時にただでやっていただけると約束しましたから(笑)!




■ついでに…、【 吉野先生や私 VIVAと一緒に働きませんか 】 
ということで、塾講師も大募集しております。仮に経験が少なくても、情熱にあふれ、親身になって指導していただける講師をお待ちしております。



   ⇒ 当教室HPからお問い合わせ、ご応募下さい。


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2007年06月22日

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング超難関大学編』 木村達哉

灘高キムタツの国立大学英語リーディング超難関大学編



国立大学リーディング.gif


灘高キムタツこと、木村達哉先生の注目の一冊、『国立大学英語リーディング(超難関大学編)』 が発売されました。以前、ご報告させていただきましたが、本書の中で、私と当教室をご紹介をしていただき、私も1ページのコラムを書かせていただきました

(まっ、どうせ出ているので…、不肖、VIVA、本名は光岡誠司と申します。塾名は「個人特訓教室」と言います。よろしくお願いします。照れる…。ついでに木村先生との写真 ⇒ Enjoyed Ourselves


というわけで、ただでさえお薦め(笑)で、多くの生徒に使ってもらいたいのですが、生徒が使い方などを間違えることのないように、この書評も厳しい眼でしっかり書いておこうと思います。


まず、特徴は何と言ってもその英文のレベルの高さです。難関の国公立大学や医学部志望の生徒が対象ですから当然です。以前、同じカリスマ教師、同じ “超難関” を謳った竹岡広信先生の 『入試超難関突破!解ける!英語長文』 をご紹介しました。しかし、本書とは難易度にかなりの違いがあり、こちらの方が英文の質も量も数段レベルが上です。


従いまして、いくら仮に国公立大学志望だとしても、現在偏差値50以下の生徒が一人で本書に取り組むのは薦められません。目安として偏差値55、できれば60くらいないと独習は苦労してしまう可能性が高いので、現状そこまで届いていない生徒は、家庭教師なり、学校や塾なりで解説してもらうのがベストでしょう

(あっ、もう宣伝ついでに…、もちろん私で良ければいつでもやりますし、当教室には私なんぞより力のある英語教師がたくさんおります。はい)


後から触れますが、選択された英文は国公立受験生にはうってつけのものですから、偏差値を問わず、国公立を狙うなら読んでおきたいところではあります。


解説も木村先生のセンターレベルのリスニング参考書 『センター試験英語リスニング合格の法則』 で見られるような基本的な説明はありません。ただ各英文の終わりに、単語の意味だけは、【 prepare for 〜:〜のための準備をする / seek to do :〜しようとする 】 など、かなり易しいものから載せてくれています。

ですから、それを頼りに “チカラ技” で意味をつなげ、本書の訳と比較し、さらに解説を読んでも分からないところを先生に聞くという使い方も可能でしょう。何しろ20もの難解な英語長文が詰まっているわけですから、それなりの覚悟をして取り組んで下さい。


さて、扱われている英文ですが、トピックは苦労して厳選された跡がうかがえます。

“大学入試の英文なんて、何が出るか分からない、分かれば苦労しない” などと生徒はもちろん、教師も考えがちですが、実はそうでもないのです。特に国公立の二次では、同じ論旨が何度も出されます。(『英文快読術(行方昭夫)』にも、そのあたりの事情が出ています。)

なぜ、そうなるかと言えば…、 例えば、今、憲法改正や年金や選挙が話題だからと言って、自民党や改憲の話が入試に出るでしょうか。大学は政治的な中立が旨とされていますから、まず出ることはありません。

同じ理由で、戦争というものの悲惨さ、経済格差の問題は出されたとしても、直接アメリカ、中国やイラクを非難したり、賛同したりするものも出しにくいですね。また、もちろん殺人事件やギャンブルなどは教育上ふさわしくありません。


スポーツについてはどうでしょう。本書で木村先生はサッカーの話題が出た時のことを、Chapter1の Strategy12 “予備知識を増やそう” のところで書いておられます。まさにその通り、正論で、実際、サッカーに関する英文を出す大学もあります。

しかし、突き詰めれば、まさか国公立大学が、我が校の新入生にサッカーの知識を求めるはずは無く、求めているのはそういう情報を“一応”持っている常識人だということです。木村先生の言わんとするところもそこでしょう。

大リーグが話題になっても、野球部とそうでない人、男子と女子におのずと有利不利が想定できるような内容ですから、ほとんど具体的内容が出されることもありません。他に、例えば茶道や花道などの芸術分野も同じようなことが言えます。

イチローやポケモンのように社会現象にまでたどり着けば出される可能性が一応は高まるわけですが、それでもなかなか中立な話題というのは少ないというのが現実です。

そう考えると、では、いったいどういうものが出やすいのか…。

環境問題などは最も出しやすい話題です。今なら、たとえ日本語のものでも、環境に関してはいくら知識を入れても入れすぎることはありません。また健康や男女、人種、年齢の平等や民主主義、平和、言語や教育にコミュニケーション。遺伝子やクローン、臓器移植などの先端技術やそれにともなうモラルの問題。ほんの数年前は、携帯電話のマナーがこれでもかというくらいいろんな大学で出されました。

そして、もっとも中立なトピックである、“動物” に関しては、意外なほどよく出されます。今も昔も。とにかく 繰り返し似た内容の英文が出されるわけですから、しっかりやっておけば、初見であっても何となく推測できる内容というのは、特に国公立には多く出されます。

実際、本書の題材を挙げますと


・仕事と余暇に関する考察(神戸大)
 
・知能の高さと老齢期の幸福に関して(名古屋大)
 
・動物実験と医学に関して(北海道大)
 
・ロンドンで通じなかった英語(神戸大)
 
・3つの国のはざまで揺れるアイデンティティ(東北大)
 
・コンピューターの普及と情報量(東京工業大)
 
・幼児期のテレビ視聴と注意欠陥障害(名古屋大)
 
・現代科学の発展と芸術との相違点(東北大)
 
・ストレスの功罪とコントロール法(神戸大)
 
・美の本質に関して(九州大)
 
・クローン人間の正当性(大阪大)
 
・見合い結婚の効用と結婚生活について(名古屋大)
 
・男の子に泣くなと教えることの妥当性(北海道大)
 
・コンピューターの世界における女性差別(名古屋大)
 
・生物兵器と化学兵器に関する国際的取り組み(九州大)
 
・生態系の経済的価値(大阪大)
 
・幸福になるために必要な要素(大阪大)

・地球温暖化に関する議論(オリジナル)CD解説あり
 
・キッチンにおける男女の役割の変化(オリジナル)CD解説あり
 
・チンパンジー社会と文化に関する考察(オリジナル)CD解説あり



わかりますよね。すべてニュートラルな話題で、これからも出され続けられそうなものばかりです。こういう言い方は、木村先生の揚げ足を取るようで、申し訳ないのですが、やはり先生ご自身もサッカーの話題は出されません。旧帝大は私立とは違うのだと感じておられるのだと推察します。

先生は、国公立大学の出題範囲が多岐に渡るとお考えになり本書を執筆されたそうですが、私は逆に以上の理由で、国公立の出題可能分野は狭いので、本書のように全体的なものをやっておけば、かなり有利だと考えます。

もちろんチンパンジーじゃなく、ゴリラもあれば、カバも犬もねずみや鯨や鳥や恐竜だってありますから(笑)、そういう意味では広いのですが、それが自然保護や種の保存という観点から述べられていれば、ジャイアントパンダであれ、メダカであれ、英語としては同じ論理展開です。


で、ここが重要ですが、本書を一通りやってから、個々が自分の志望校の過去問で傾向を分析、確認し、さらに絞り込む と実に能率的に勉強できます。


さらに長くなりますが、大変、重要な点をもう一つ。


企画段階で、すべての英文にキムタツ先生の解説CDを付けてしまうと、生徒の考える余地を無くしてしまうので、それは止めましょうと、私自身が進言しておきながら何ですが…、最後の3題に付いているCDは大変分かりやすく、解説に無駄がありません。英語が苦手な生徒にはとてもありがたい。

私もはじめて先生の授業を拝聴しましたが、先生、授業がものすごくうまいんです。当たり前ですね (あ〜まずい)。


そこで、本書の構成を台無しにする気か!と今度は本当に怒られるかもしれませんが、偏差値が、上で申し上げたように、ある水準に届いていない生徒は、ぜひ、まずこの最後のCD付きの問題からやれば良いと気付きました。


本来、これは木村先生やアルクの意図では、締めくくりの実力テストの形で付いているものに想定されていますが、解説がとても詳しく、ゆっくり丁寧になされていますので、読むだけでは理解しにくい生徒も、鉛筆で印を付けながら、授業を聞くようにその英文を追っていけば、勉強の仕方がわかるというものです。英語のつながりを確認するとはこういうことかと…。

先にそのCDを聞くことで、解説を読んでも、今ひとつ理解できなかったものが、同じパターンで出てくる英語表現がたくさんありますし、CDの方はほぼ全文を解説してくれているので、読むよりも、ずっと短時間で分かるはずです。英文解釈のコツのようなものをCDでつかんでから、前に戻ってやる勉強方法を強く薦めます。


その方法なら現在の成績に関係なく使えます。入試最高レベルの英文を読む楽しみや難しさが見えるでしょう。


そして、最後に付いている単語集。これは、木村先生とご一緒させていただいた時に私自身がぜひともと要望したものなので、見かけはちっぽけですが、的を射た選択で、発音記号も必ず付けて欲しいとお願いしたのですが、そうなっています。ですから、大げさですが…、感無量です。

私が高校生なら、この部分をきれいにカッターで切り取り、最後の先生のメッセージと一緒に持ち歩いて、通学時間でチェックし暗記に使います。今では身近にコピーがありますから、単語集を自分専用の冊子に作り変えて覚え切ってしまったらどうでしょうか。


以上、というような訳で、トップレベルの生徒にとっては夏休み中に本書を完全に理解できれば、相当な実力者となれるでしょう。実力が届いていない人はうしろのCDを聞いてから、あるいは最後の単語集を覚え切ってから使うのが良いはずです。

私にとっても貴重な体験をさせていただいた思い出の一冊になりますし、国公立大学合格を目指す受験生にとっては、内容も申し分ありません。本書がぼろぼろになるくらい反復して下さい。


まぁ、木村先生から、時折、ご相談を持ちかけられたことを良いことに、出版の世界の事情などお構いなしに、とにかく受験生にとって理想的なことばかり注文を付けたのですが、それに近いものが (ついでに申し上げれば、2000円未満で) 本当に出来上がりました。

本書のおかげで、私も英文テキスト選択の手間が大幅に省けますので、どんどん使わせてもらいます。ありがとうございました。


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P.S. 一点だけ、残念でならないのが、せっかくの私のコラム、一生に一度のつもりで書いたのに…、ひどい誤植がありました(泣)。一番良いところで…。まぁ、アペンディックス(おまけ)なので受験生にはどうでも良いことですが、見た瞬間ぶっ倒れそうになりました。くやしい〜。ふ〜、ま、探してみて下さい…。
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2007年06月21日

『日本語が見えると英語も見える−新英語教育論』 荒木博之


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『“くちびる” を英語で何という?』 とたずねれば、きっと中学生でも、“lip” と正しく答えるでしょうし、実際、教科書にも、顔のイラストに鼻には “nose” 、目には “eye” と示されているように、くちびるは lip としてあるでしょう。

それでは、次の英文はどう訳すか、“A bearded lips just open.” bearded は “ひげのはえた” ですから、直訳は、“ひげのはえたくちびる をちょっとあける。” でも “くちびる” にひげははえませんね(笑)。なぜこんな英文があるのか。


これは、鈴木孝夫氏が『言葉と文化』という本の中で、英語と日本語の文化の違いを明確に示したものです。英語の lip というのは、日本人が想定するような、口紅を塗るあの赤い部分だけではなく、鼻の下から口の周り全体、いわゆる“チュ〜” と、くちびるを突き出してとんがる部分全体を指すということを示しています。そこならひげが生えるわけです。


本書はこういった例を紹介しながら、そもそもこういう基本的なところから、英語と日本語、西洋人と日本人のものに対するとらえ方、概念が違うということを念頭において英語の指導を始めるべきだと教えてくれる一冊です。

言葉が文化であるということに、どの教師も異論がないはずですが、ということは日本で英語を教えるということはすなわち、両方の文化の違いを認識していなければ始まりません。では、日本(語)文化の特徴はどのあたりにあるのかを、本書では上に挙げたような日英の違いのさまざまな例を出しながら考察します。


もう少し例を紹介しましょう。さらに単純に中学生に一番手っ取り早く日英の違いを説明するには、英語では、相手が大統領であれ、赤ん坊であれすべて、you しかなく、自分が I だけ。

一方、日本語で自分をさす言葉は、「僕」「わたし」「わたくし」「わし」「あたし」「俺」「自分」「こっち」「こちとら」「それがし」「拙者」 などなど。相手には 「あなた」「おまえ」「おまえさん」「きみ」「そっち」「そちら」「そちらさん」「貴様」「おのれ」「おぬし」「貴殿」「貴公」 とこちらも性別や地位、あるいは時代、状況などによって非常に多種多様です。しかも「自分」という言葉は、自分にも相手にも使いますね。

生徒たちに、君たちはお母さんや先生に、「あなた」 とか「きみ」 と呼んだことがありますかときくと、当然ありません。不適切だと判断しているわけで、すでにこの違いを認識して使いこなしているわけです。外国人がこれを学ぼうと思ったらとてつもない労力が必要でしょう。それに比べて英語のなんと簡単なことか(笑)。

逆に…。

例えば複数形。中学生は、名詞に複数形があることを、動詞の3単現のs同様、みな不思議に思います。本は何冊あっても本ですから、誰も、本“達”屋 とは言わないのに、英語では books。でも、外国人にとって、本屋さんの看板によくある book は気持ち悪くてしょうがないそうです。何で s が付いていないのだと。

そこで調べてみると、世界中の言語の中で複数形が無い方がかなり珍しいらしいのです。向こうがおかしいと思っていたら、どうやらこっちの方が例外らしいということが日本語にはいくつもあります。

なぜこんなことが起こるのか。なぜ日本人は、自分や相手の呼び方をいろいろ変えたりするのに、単数、複数を区別しないのか、そういうようなことを本書でいろいろ考察するわけです。


英語と日本語の単語が一対一であるわけではないということも、いろいろの例を出して説明しています。何となくわかるけど曖昧な日本語というのはたくさんあります。「けなげ」 「りりしい」 などという言葉や、「よぼよぼ」 「ふわふわ」 なども一語の英単語では感じが伝わりません。

例えば、「りりしい若者」 という時の 「りり(凛々しい)」 という日本語。まずこれをどういう日本語で説明するかということ自体が難しい。日頃何となく使っていても、意味を問われて、「りりしいとは○○なようす」 などと間髪入れずに答えられる人は少ないと思います。


そこで、国語辞典で「りり(凛々しい)」 を引きますと、「きりりと引き締まっていて勇ましい」 などとありますが、さらに「きりり」 と 「引き締まる」 も曖昧で、英語に直せません(笑)。

和英辞典では、りりしいに brave や valiant や それから manly などを当てています。「男らしい」 や 「勇敢な」 という訳を付けていますが、りりしいとはちょっと違うと思いませんか。

筆者がいろいろな辞書に当たって見ると、日葡辞書に、「気高く、非常に生気がある」 と書いてあり、なるほどと思ったというのです。「りりしい」というのは、noble でそして魂が高揚している。英語で言うと high−spirited という言葉がありますから、brave and high−spirited 「高貴で魂が高揚している」 という訳を付けると、これはかなり日本語の「りりしい」に近くなるのではないかと。確かに引き締まっている感じがしますね。


こうした話題や実例を挙げ、日本語と英語の違いを徐々に浮き彫りにしていきます。目次は以下のようになっています。


第1部 やまとことばと英語

第2部 モノローグ言語とダイアローグ言語

第3部 農耕稲作民と遊牧民

第4部 異文化対応と自己確認

第5部 音声訓練の方法

第6部 『中間日本語辞典』

第7部 英語苦手克服のセラピィ 


何度も読み返しました。筆者は、いろいろの考察から、日本語および日本文化のキーワードは “自律” ならぬ 『他律』 であると結論付けます。従って主語がなかったり曖昧になったり、受身が多いなどなど…。

日本人らしさの構造(芳賀綏)』 という、日本語文化に焦点を当てたすばらしい一冊を以前ご紹介しましたが、そこで見えるキーワードとほぼ一致していました。


私は高校生に英語を教えるのが仕事ですから、もちろん英語を勉強します。入試問題を解き、新しい参考書や話題になった単語集などは、すべてとはいきませんが、相当程度チェックはします。

入試の英単語だけ覚えても、とても講師は務まりませんから、英語の新聞や雑誌も講読します。文化を知りたいと思っていろいろな本も読みます。常に受験英語を意識しながら、それをどう興味深く、効率的に生徒に伝えるかをさぐるために努力しますと、受験英語とは関係のなさそうなものから多くのヒントが得られます。


そして、いつも高いレベルで行き着く結論がまさに本書の題名 【 日本語が見えると英語も見える 】 というものです。英語を教える際の基本的心構えを教えてくれた本はたくさんありますが、本書はその中でも最も強い感銘を与えてくれた中の一冊です。


高校生でこれから英語関係の学部、学科に進もうと考えている人や、多くの英語の先生、塾講師の方々にお読みいただきたいと強く思います。お薦めです。


 
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2007年06月20日

『漫録おやじ日本を叱る』 井尻千男

 
漫録おやじ日本をカる.jpg

 
本書の著者、井尻千男氏をご存知でしょうか。日本経済新聞の文化面のコラムを25年も担当していた名コラムニストです。

私は、最初、それに気付かず、ある討論会を収録した別の本を読んでいたときに、その中で、居並ぶ大物達の中でも、氏の際立った論理に惹かれて、どんな人だろうと、その著作を探して読んだのが本書です。

その討論会のような特定のテーマを掘り下げて論ずる、というたぐいの本ではなく、氏が雑誌に書いているコラムを集めたものでした。体系的、学問的に、ある問題を扱ったものではなかったのですが、内容は期待通りあるいはそれ以上におもしろく読めました。


本書の表紙のイラストや名前だけでは気付かなかったのですが、いろいろ見ている間に、あっ、時々テレビに出ているあの人じゃんと知った次第です。なんと『新しい歴史教科書を作る会』の顧問だそうです。

 

井尻千男.jpg



私はいつも10冊以上、読みかけの本があり、あちらの本こちらの本と寄り道をしながら一冊を読むことが多いのですが、本書は途中でやめられず一日で読みきってしまいました。話題は日本文化を中心に硬軟さまざまです。


コラムの中の話題としては、

「鳩山由紀夫氏の言語能力」、「新聞の『検閲』をご存知か」、「少年法守って国滅ぶ」、などなどです。少し前の話題ですが、本質は変わっていないと感じます。


目次は

1 平らに成りてのっぺらぼう

2 からっぽの日本

3 馬鹿騒ぎして闇深し

4 気儘な政治家たち

5 苛烈な世界のウラオモテ 

となっています。

他にも、井尻氏の著作を読みたかったのですが新しいものは少ないようで残念です。それはさておき、この本、題名がよくないと思いませんか(笑)。週刊新潮のコラムの題名から来ているようですが…。せっかく優れた内容が、これではどこかのおやじさんがあれこれ愚痴をいっているだけのような印象を与えてしまうような気がするんですが…。


そういえば、以前ご紹介した、サザエさんのお父さん磯野波平さんで知られる声優、永井一郎さんの著書も 『バカモン!波平、ニッポンを叱る』 でしたね。こちらはサザエさんの中でいつもカツオくんを叱っているのでOKでしょうが、“漫録おやじ” では、若者は題名を見ただけで興味を失うのではないかと…もったいない。両方とも新潮社でしたね。偶然でしょうか。


それはともかく、波平さんこと、永井一郎氏の著作も味のある内容で良いのですが、本書はそれ以上にお薦めしたい一冊です。何か日本がヘンだと思われる方にはぜひお読みいただきたいと感じます。



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2007年06月19日

『道路の権力-道路公団民営化の攻防1000日 』 猪瀬直樹


道路の権力.jpg


猪瀬直樹氏が東京都の副知事に就任するというニュースが流れました。石原慎太郎都知事から、知事として後継者指名されたのだと解説する向きもありましたね。驚きました。


猪瀬氏といえば、世間の注目、期待を一身に背負って取り組んだ道路公団改革です。小泉内閣の目玉で、当時、官僚を問い詰めていくさまは爽快感すらもってニュースを見ており、成果が上がったと思っていましたが、次々に骨抜きだの、仲間割れだと批判されました。


その急先鋒は櫻井よしこ氏でしょうか。正直、当時テレビでお二人の議論を聞いていても、やはりあまりにテクニカルで、どちらに分があるのか判断できませんでした。お二人とも反官僚政治でしょうし…。やり方が生ぬるいということなんでしょうか。櫻井氏も 『権力の道化』 という本で説明しているようですが、私はまだ読んでおりません。


以前ご紹介した、佐藤優氏の『国家の罠』に対する評価で、【櫻井よしこ VS 藤原正彦】 を取り上げた時は、櫻井さんの真意がわからず、また佐藤氏の著作を好意的に読んでいる私には、藤原氏に分があると思いましたが、道路は難しいです。


さて、本書は、行革断行評議会委員、民営化委員会委員として道路公団民営化に取り組んだ猪瀬直樹氏の活動を描いた書き下ろしです。本書は抵抗勢力の活動を記録に残すという、明確な意図があるように思います。

とにかく税金を入れずに道路公団をはじめ、4つの団体を同時に民営化すること、それに巣食っている役人、政治家、ファミリー企業の実態を白日の下にさらすことが、猪瀬氏の目指す改革ですが、当時の藤井総裁解任劇、覚えておられるでしょうか。あれに象徴されるように、その抵抗はすさまじく、極めて陰湿です。 

いや、むしろ藤井問題などは、ことの本質から国民の目をそらすために利用されている印象すら持ちます。ものすごい芝居だなと。


確かに、藤井総裁解任劇は見た目は華々しかったのですが、それ以外にも民営化委員長の解任問題、文春での裏財務諸表暴露問題、そして桜井よし子氏による猪瀬氏名指しの批判論文などなど、多くのことが同時進行で起こってきます。それが出てくる経緯というのは、見てすぐわかるというものではありません。

櫻井氏はともかく、そうした問題の裏側で進行しているのは激しい権力闘争や、利権確保だったということが本書を読むとよく分かります。妨害工作は実に巧みに行なわれ、テレビや新聞などの報道だけでは全体像はつかめません、というより普通なら猪瀬氏らに批判的な考えを持つでしょう。本書を読んでいなければ。

目次です。


第1部 行革断行評議会篇(聖域に挑む;実力者たち;九三四二キロという旗;変人の戦術)
                        
                        第2部 道路公団民営化委員会篇(民営化委員会発足;総裁たちの弁明;「凍結」の道路;論破;最終答申;国民の選択)
 


そのあと、新しい道路公団総裁が決まった時に「命をかけるつもり…」と新総裁は自らの意欲を語ったのですが、それを受けて、猪瀬氏はテレビで 「つもりじゃダメなんだ。命をかけないと。私は命をかけてやっていますから」 と言い切りました。本書を読むとなるほどそれくらいの意気込みだと納得できます。

また、佐高信氏も最近の著作の中で猪瀬氏を痛烈に批判しているそうです。また、自民党道路族からは、何とか猪瀬氏の民営化委員就任を止めようとして 「ヘンな作家」 とか 「しろうと」 などぼろくそに言われていました。


まぁ、確かに妥協もしていますが、守るべきところは守ったと思っていましたが、そういえば、前後しますが、これまた、よくわからないのは、同じ改革派でも、道路公団民営化法案が出されると、「骨抜きだ」 ということで、さらに二人の改革派と目されていた委員が辞任したということもありましたね。あ〜あ、みんないなくなっちゃったという感じがしたものです。

本書を読んで、猪瀬氏の主張は筋が通っていると思いますし、それを実現するためのエネルギーや行動力もけた外れだとわかります。とうとう敗北してしまったのか、何とか改革の道筋を付けたのか議論が分かれていますが、おもしろい上に官僚の世界、政治の世界のしくみを知る上で、大変勉強になる一冊でした。



P.S.個人的には、四面楚歌、孤軍奮闘、満身創痍、そんな状況に見えてしまう中でがんばっている猪瀬氏にやや同情的になっていることも事実ですが…。石原都知事は猪瀬氏の何を評価したのでしょうね。また櫻井氏の著作も早めに読んでみようと思っているところです。 


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2007年06月18日

『中国農民調査』 陳 桂棣・春桃【著】・納村 公子・椙田 雅美【訳】


中国農民調査.jpg 


中国で、千人以上の子供が奴隷にされていたというショッキングなニュースが流れました。 相互リンクの ysbeeさんのブログに詳しく出ています。よく指摘されるように、中国の農村と都市部の格差の問題は暴発寸前というのが現実的なものとして感じられました。