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昭和天皇の、A級戦犯や靖国神社に関するメモが見つかったことが、大きな話題になっています。主要新聞はすべてこのことを社説で取り上げました。それにしても、このタイミングでメモが出てくる事情が知りたいですね。
このブログでは、三土修平氏の『 靖国問題の原点 』 をご紹介しました。非常に緻密に調べて分析をしており、大作と呼べると思います。論点整理もできるのですが、最後、解決策はゆいいつ、首相が参拝をやめるしかない、すべて解決するには、まだ何十年もかかるというもので、“もう少し何かないのかな” と思いました。
本書はまったく逆です。分祀などとんでもないという立場です。こちらも京都大学の中西輝政教授が、「一級の資料的価値のある」 と述べたように、調査はものすごく綿密です。「“凛として死んだBC級戦犯の「遺言」” という副題からもわかるように、B級、C級戦犯とされた人々の記録をもとに、裁判の不当性を訴えたものです。
例えば、ワールドカップで負けると、『A級戦犯は○○だ 』 というような言い方をされるため、誤解している人が多いのですが、A・B・C級というのは罪の重さではなく、種類の違いです。ですから、A級で釈放された人もいれば、B・C級で死刑になった人もいるわけです。(人違いで死刑になってしまった人までいるそうです)
一応、A級が政治指導者、B級が軍部の指導者、C級は犯罪の実行者ということになっていますが、本書によれば、これすらかなり曖昧だということです。日本人を裁いたのは、アメリカ軍、イギリス軍、フランス軍、フィリピン軍、中国(国民政府)軍、オランダ軍、さらに記録が正確ではないのですが、ソ連、中国共産党の対日戦犯裁判もありました。裁判地も数十に及びます。
本書は死刑約千人を含め、裁かれた5千を超える人々の中から、本間雅晴中将と山下奉文中将、後藤大作大尉などを詳しく取り上げます。遺書なども紹介されますが、自らの命を惜しむのではなく、『戦争犯罪人』 の烙印を押されることの無念さがにじみ出ています。残される家族はもちろん、日本の将来を心配しているわけです。
実際に戦犯とされてしまった人々のその後の生活は悲惨だったようです。就職を拒否されたり、婚約解消、村八分などなど…。当時、これらの裁判に批判的な声はアメリカ内部にも相当あったにもかかわらず、それが報道されず、現在まで戦犯として扱われている人々に対する無念さが筆者から感じられます。
明らかに不備な裁判で、自分が無実だと主張しながらも、死んでいく姿は、涙を誘います。筆者は、自虐史観を痛烈に批判していますが、では日本国内の戦争責任の所在は?ということになると、触れられていません。そこを書いていただきたかったと思います。
http://tokkun.net/jump.htm
『南十字星に抱かれて』 福冨健一
講談社:270P:1600円
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