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インドという大国に、ここ数年、ますます注目が集まってきました。IT先進国として、経済が発展すれば、10億の人口があるだけに、底知れぬパワーがあるでしょうし、グローバル化の中で、英語が通じるという強みもあります。
先日は、テレビのサンデープロジェクトでも “インド社会と日本企業” の興味深い経済特集がありました。日本からの投資も急増しているようです。
政治的にも、日本にとっては、中国に対するけん制という意味もあるでしょうし、相性も今のところ、中国よりは良さそうです(笑)。実際、ビジネスや観光でインドを訪れる日本人は増える一方のようです。私もあこがれます。
しかし、政治家やマスコミが喧伝する “発展” や “正義” という言葉の裏には、いつも表に出にくい残酷な現実が隠されています。中国でも地方は悲惨なものだということをよく聞きますよね。
アメリカでの9.11のテロ直後、ノーム・チョムスキー は“アメリカには報復する資格がない” と言って、報復一色に染まっていたアメリカ世論の中で、政府相手に孤独な戦いを繰り広げました。彼は、戦後アメリカが行なった戦争の相手国を列挙することによって、非常に分かりやすくアメリカの本質的な攻撃性を示しました。
インドでは、ブッカー賞 を受けている大物作家である筆者が、現政権に必死の抵抗を続けています。本書で、アメリカの帝国主義的性格がインド社会の腐敗と結託が招いた、残酷な現実をアピールします。ロイ氏の示す未来像では、仮に経済発展が現実のものとなっても、貧富の差の激しいインドでは、最貧層は家、土地を奪われ、文盲のまま放置され、電気や水が供給されず、餓死者は増加するというのです。
外国巨大資本には莫大な富をもたらし、インドの役人が私服を肥やすだけ。巨大ダム建設と電力事業のために立ち退きを求められる住民には、意見を聞かれるどころか、保証金や代替の土地すらなく、建設決定の事実さえ知らされていないというのですから。
世界のダム建設の相当数がインドに集中しているそうですが、すでに建設されたダムを詳しくルポルタージュし、ちょっと信じられないほどの惨状、また環境破壊などのすさまじさも告発します。
本書の序にチョムスキーが、本書とロイ氏を 「屈服と死をひたすら拒絶する」「あっぱれな戦いぶり」だと賞賛しています。
核兵器を持ち、カースト制 もある、日本とはまったくしくみの違う社会ですから、安易に我々の基準で判断できませんし、私はインドについてほとんど知りませんが、 “インドは狂っている”、 正直、そう思わせるほど鮮烈な印象を与える一冊でした。
P.S. 夏期講習 に突入しましたが、力が入ってついつい長くなってしまいました(笑)。夏休みの自由研究で、インドを調べてみたらおもしろいかもよ。
http://tokkun.net/jump.htm
『誇りと抵抗』アルンダティ・ロイ著
集英社:173P:693円
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