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格差社会が、時代のキーワードのようですが、生徒たちが知らないのは、韓国や中国はもちろん、“自由” “平等” “博愛” などのスローガンで登場する、民主主義のチャンピオン、西欧諸国の方が、日本よりずっと学歴社会が浸透しており、格差が大きいということです。
もちろん、だからといって日本の格差拡大に賛成するのではありません。このブログでも、『封印される不平等 (橘木俊詔) 』をご紹介しました。また、『街場の現代思想 (内田樹) 』で描かれるようなフランス社会に比べれば、日本のほうがずっと良いと思います。
ただ、常々授業で、子どもたちの “勝ち組、負け組” という発言を聞くたびに、日本が世界有数の平等な国家だということ、人によっては社会主義じゃないかというほど階層がないしくみを日本が作ってきたということを知ってもらいたいと思います。
誰でも、必死に勉強すれば、今の格差が広がっている日本とはいえ、まだまだ欧米に比べれば、勝ち組(あまり好きな言葉ではありません) と呼ばれる層に入る可能性はいくらでもあるという事実です。
本書は、アメリカ社会では、エリート層がどういう道筋を通るのか、そのしくみや、格差の実態を紹介します。筆者の主張は、アメリカは個性を伸ばし、日本は画一的であるという、割と単純な意見ですが、どう思うかは別にして、さまざまなデータが満載されていますので、興味のある方には貴重な一冊だと思います。
一番わかりやすいのが、下世話ですが、大学院卒の初任給の比較でしょう。日本では仮に東大などの一流大学の大学院卒で、一流企業に入っても、せいぜい月給25万円前後でしょうか。
一方アメリカのハーバードやスタンフォード大学などのMBA (経営学修士)取得者はいきなり初任給で、年収1000万円を軽く越えます。しくみが若干違うので、一概に比較するのはどうかと思いますが、そこらあたりの説明など、ランキングなどを多数紹介し、非常に丁寧です。
また、そういうアメリカのトップエリートたちが、激烈な競争社会(学歴社会)の中で、どれほど勉強しているか、どういう思考方法や行動様式が代表的なものなのかを、筆者の感想を交えて描きます。
数年前、当教室のHP で、ゴーマンレポート という、世界中の大学ランキングを、海外のHPからカタカナにして、簡単に紹介しただけだったのに、多くの大学院生や、テレビ局からまで問い合わせがあり、驚いた覚えがあります。
そういう意味では、本書一冊あれば、アメリカ限定ですが、また、それを良いと思うか、悪いと感じるかは別にして、かなりの情報が得られると思います。
P.S. ついでに申し上げれば、日本のゆとり教育は、“生きる力”だの“個性を伸ばす”だのという美名の下に、実は、こうしたアメリカ風のエリート教育をめざしているものだとにらんでおります。
ゆとり教育元年の2002年に書きました拙文
『 ゆとりよりも夢を!衣の袖からエリート教育の鎧(よろい)が見える 』 をUPしておきました。ご覧いただければ幸いです。
http://tokkun.net/jump.htm
『アメリカ最強のエリート教育』 釣島平三郎
講談社:206P:880円
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