“I love you.” というメッセージを “ a→b b→c c→d” と次のアルファベットにして暗号化し、書き換えますと “jmpwfzpv” となります。この暗号をどう見破ればよいのでしょう。
実はこれが、暗号の初歩の初歩で、アルファベット一つ一つの使用頻度を分析することから、簡単に見破ることができます。本書ではそこから始めて最新の量子力学まで話が及びます。
ロゼッタストーンに描かれた紀元前の絶滅した絵文字の解読法や、戦争中の無線傍受した内容の暗号分析方法などの丁寧な解説書であり、それを発明した天才たちを描いたドラマでもあります。これまでの暗号の歴史が国家の盛衰に著しい影響を与え、現在の企業の生命線を握っていることもよくわかります。
“なるほど!” “すごい!”の連続で、確かに暗号は解読できる! と確信させてくれるでしょう。決して、気軽な本ではないのですが、興味のある方には、知的好奇心に充分応えてくれる一冊です。特に数学好きの人なら感心しきりでしょう。
億、兆どころか京、さらにその上の位の数の候補からどのように正しいかぎをつかみ取るか、あるいは隠しとおすか? 情報戦の凄まじさ、数学の不思議さがよく分かります。『 フェルマーの最終定理 』 も同様ですが、サイモン・シンの著作は、科学の本でありながら、歴史、ミステリーであり、壮大なドラマです。
ちなみに、本書が書かれた時点では、暗号作成側が解読側よりも勝っており、最新の技術ではたった一つの暗号化されたメッセージを解くのに地球上の全パソコン2億6千万台をいっせいに使っても宇宙の年齢の1200万倍かかるそうです。すごいスケールの話になっていますね。
暗号は、ネット社会のキーワードですし、日米開戦時にも決定的な役割を果たしています。一般市民が知らないところで、ものすごいエネルギーが暗号作成、解読に注がれていることに驚きます。★5つレベルのお薦めです(笑)。
http://tokkun.net/jump.htm
『暗号解読』サイモン・シン
新潮社:509P:2730円
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