本書が発売された当時、筒井氏の久しぶりの作品で、非常におもしろいというので読んでみました。評判どおりで、大変印象深い一冊でした。
愛というのは、犬に手をかまれ、左手が不自由になってしまった主人公の小学生。母を亡くしたあと、かつて自分たちを捨てた父を探しに、愛犬のデンを自分の左側に連れて旅に出ます。その途中、次々と彼女らを襲う予想外の事態。
登場人物がすべて個性豊かですし、出くわす一つ一つの出来事は、スリリングで、物語に引き込まれます。幽霊が出てきたり、犬と会話したりしながら、それを切り抜けていくのですが、非現実的なところで、読者に違和感を持たせるどころか、応援して読ませてしまうのは、やはり、筒井氏の力でしょうね。すばらしいです。
物語は、どんどん意外な展開へ進むのですが、いろいろの事件を通して愛が成長していく姿がしっかり描かれていて、中学生の子供にも大人にも読んで欲しい作品です。
これまでの氏の最高傑作だと、絶賛している人も多いようです。やはり子どもは(大人も)冒険しないと成長しないよな〜、なんて考えながら読みました。
それにしても、他の作家の作品でも、小説で描かれている日本の未来がとてもすさんでいるのが気になります。ストーリーを劇的にするためにそうしているのか、あるいは鋭い感性を持った作家たちには、この国の将来は明るく描けないのでしょうか。
それはともかく、大いにお薦めできる一冊です。
http://tokkun.net/jump.htm
『愛のひだりがわ』 筒井康隆
岩波書店:295P:1890円(文庫本も出ています)
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