
先日、灘高キムタツこと木村達哉先生と、出版社アルクの編集長に渋谷でお会いしました。未履修問題など、他の進学校がだんまりを決め込んでいる中で、灘高が特に厳しい批判にさらされていることをどう思っていらっしゃるか、聞いてみました。
もちろんおもしろいはずはありませんが、制度の不備はわずか数ヶ月ではいかんともしがたいことがわかっており、すでに切り替えができていますね。灘が受けた “不公平な扱い”(詳しくは伊藤先生のブログ) を、逆にエネルギーにしているという印象を受けました。
灘という学校は、ノブレスオブリッジというか、有名税というか、ちょっと適切な言葉が見つかりませんが、全国から注目の的であるだけに、マスコミにも(今回は読売新聞)常に狙われる存在です。木村先生とお話しをしていると、灘というのは、普通の進学校を超えた、超進学校としての責任や、注目が増すことがわかります。
その灘中学に5番の成績で入学し、あの勝谷誠彦氏と同級生という、和田秀樹氏の著作です。木村先生と実際に生徒たちの勉強方法や、英語のテキストつくりに関してお話をさせていただいたり、和田氏の学習方法を読んだりして感じるのは、特別なことをやるというより、自分が良いと信じるものを、しっかりとやって基礎を作り、成績をあげているんだということです。常に勉強の目的が明確です。
和田秀樹氏の活躍は実に多方面に渡っており、その主張はリベラルというか、何でも良いものは良いという姿勢に好感を持ちます。常識や古めかしい受験の伝統にこだわりません。そういえば朝日新聞にも産経新聞にも登場しますね(笑)。
本書は、やがては受験をむかえる子をもつすべての親御さんに向けて書いた本です。ちょっと副題の “勝ち組云々” という表現はあまり好きではありませんが、ここでもそのわかりやすい主張は健在です。
ゆとり教育で学力が低下する一方で、社会における競争は確実に激しさを増しています。その中でいかに子どもを 「勝ち組」 に導いていくかという具体的アドバイスを、現代の入試事情を踏まえた上で指南しています。
灘中では劣等生で過ごしたものの、高2で最小限の努力で最大の効果を生む独自の学習術を編み出し、東大理科V類や慶応医学部、経済学部に現役合格を果たしたと言われる和田氏の、その方法論は非常にわかりやすいです。
和田氏といえば、受験必勝法と連想されるくらいですが、個人的には、親や生徒がおちいりやすい受験に対する誤解を心理学的見地や社会情勢の判断から、警告し、昔からある勉強方法の中で、現代の受験事情にあった、もっとも効率が良いものを選んでいこうという主張だと思っておりますが、いかがでしょうか。
本当に著作がたくさんあり、どれを読んでも興味深い指摘があります。時には具体的過ぎると感じることもあります。例えば、参考書などを薦める時には、生徒の状況や学力次第という面が欠けています。鵜呑みは危険です。
本書においても、氏の主張は確かに刺激的ですが、すべてを素直にそのまま実践しようとせず、ご自分や、お子さんにあっているというものを取り入れるという姿勢で読まれれば、必ずためになるところがあると思います。受験生だけでなく、受験指導をしている方にもお薦めしたい一冊です。
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