
世の中にあふれるダメな議論を省いて、有用なものをきちんと整理して論じていこうという前向きな一冊です。KOU先生
が絶賛していました。
さっそくですが、下の主張をお読み下さい。ダメな議論の例として本書に載せられているものですが、どこか違和感があるでしょうか。すっと読んじゃいそうですが…。
80年代後半より産業構造の画一性が崩壊するとともに、従来の詰め込み型学習への偏向を見直し、ゆとりある教育(「ゆとり教育」)が必要であるとの主張が重視されるようになった。しかし、その一方で、日本社会のあらたな担い手として必要な基本能力の充実もまた欠かせない。ここから、日本そしてグローバル社会の変容に対応する「生きる力」が教育の中心的テーマとして浮上する。「ゆとり教育」と「生きる力」の形成をどのようにバランスさせていくかが、現代日本の教育政策にとって最大の課題となるだろう。
これは筆者が作文したものですが、書いている本人も何を言っているか分からないそうです。ただし、明確な誤りがあるわけでなく、何となくプラスイメージの単語が散りばめられて、良いことを言っているような気にさせてしまうということです。
社会・経済問題の原因を分析するタイプの言説(解釈型の言説)において、筆者の挙げるダメな議論のチェックポイントは
1:定義の誤解、失敗はないか
2:無内容または反証不可能な言説
3:難解な議論の不安定な結論
4:単純なデータ観察で否定されないか
5:比喩と例話に支えられた主張
これだけではちょっと分かりにくいと思いますが、本書にはそれぞれにどういうことか上のように例文を挙げて解説してくれます。上の文では“ゆとりある教育”だの“生きる力”などが定義されていない抽象概念で、無内容というわけです。
“国際競争力” とか“構造改革” などは特に要注意ですよね。本書はそれらの言葉の曖昧さや、イメージを利用して読ませようとしている主張を糾弾するわけです。
一つ残念なのは、例文を筆者自身で書いているものが多いのですが、本書を読むと、きっと、大新聞や雑誌などにそういうダメな議論があふれていると感じますから、具体的に歯切れよく批判して欲しかったですね。
そうすれば読者は、◎◎新聞の社説はあやしい(笑)とか、□□に出ているコラムはまゆつばだと注意できて、得るものが多かったと思うのですが…。非常に若い方(1975年生)ですから、周辺に気を遣っているのでしょうか(笑)。
また、経済学の先生ですから、経済の話が多く、株式や為替など少しは経済の知識がないと、高校生には難しいかもしれません。
本書が参考に挙げている書籍の中で、拙ブログでもとりあげたものがいくつか含まれていました。
『ニートって言うな 』 『ヤバい経済学 』 『社会調査のウソ 』 などです。確かにこれらすべて、メディアリテラシーを養う上では名著だと思います。これらを合わせて読むと筆者の主張がより分かりやすいと思います。
また、類書としてお薦めできるのが、野矢茂樹氏の『論理トレーニング101題
』です。こちらは考えて読めば読んだ分だけ、論理力が付くと言い切っています。
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おかげさまで、昨日の合格発表
都立高校・すなわち代々木校の生徒は
全員合格しました!イェ〜イ
中川の方は残念ながら、100%には到達しませんでしたが
それでもそれでも、かなりの健闘をしてくれました。
すごいぞ!
中3生諸君。合格おめでとう!
みんな、よくがんばった!
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【当教室HPへ】
『ダメな議論 −論理思考で見抜く』飯田泰之
筑摩書房:205P:714円

