
「発掘!あるある大事典II」 の捏造問題で、民放連が関西テレビを除名処分にするそうですね。行政介入を阻止したいためとはいえ、かなり厳しい処分ということで、経営的には大打撃を受けるようです。まぁ、当然ですね。
また日本テレビが 「NEWSリアルタイム」 という番組で “パトカー囲み集団挑発・憤激!群馬県警VS暴走族” のド派手なタイトルで特集した報道をめぐり、スタッフがその少年らに事前に撮影予定を伝えて暴走を誘発した疑いがある、とも報道されました。こういう事件も何度かありました。うんざりです。
年度末をむかえて、今、テレビ番組の再編の時期ですが、これを機に反省し番組の質が上がるなどとは、とても期待できません。以前は、授業で生徒たちに 『○○という番組が参考になる』 というようなことを言っていましたが、今ではほとんどありません。
私は本当にテレビを見なくなりました。おそらく、ニュースステーションなどが10時ちょうどではなく、9時54?分に始めたり、必ず他の番組が始まる11時くらいに巨人戦の結果を流し始めた頃からでしょうか(笑)。なんかそういうのに付き合うのがバカバカしくなっちゃったんですね。そんなことないですか?
スポーツ中継にアイドルが出てきて試合の前に歌を歌ったり、何度も何度も同じシーンを繰り返し見せ、絶叫する大げさな盛り上げ方、“このあとすぐ” って言っておきながら、ずっと待たせる視聴者をバカにした態度、ウケを狙って目立とうとする政治家…、挙げればきりがないくらいですね。
それらはみな、番組を良くする工夫ではなくて、視聴率をあげるための工作ばかり。誠実さのカケラも感じさせません。
『テレビCM崩壊
』 というマーケティングの本が売れましたが、確かにここ数年の巨人戦のナイターの視聴率の落ち方などが象徴的で、視聴者全体が昔と大きく変わってきて、テレビに飽きてきているのかもしれません。
さてこの小説の舞台はテレビ局。テレビ業界にとって視聴率がどのようなものか、よくわかります。
筆者は全国紙の記者から民放テレビ局のプロデューサーをしたあと出家をし、現在は僧侶だそうです。やっぱ、懺悔(仏教では、さんげ)しなきゃならないのでしょうか(笑)。いや、ホント、まともな人間ならイヤになるはずだと思います。
主人公は “関東テレビ” の看板プロデューサーです。社内抗争や外部プロダクションとの癒着などの問題があり落ち目になっていた、あるニュース番組のてこ入れのためにその担当になります。
この会社のトップは “アベツネ” といいます。日本テレビじゃないですか(笑)。“広告代理店の電王 (電通でしょ) が官公庁、大手民間企業に張り巡らしたネットワークの威力は絶大で、テレビ番組のスポンサーを入れ替えるのは意のまま、番組生殺与奪権を握っている”、 のだそうです。
また “裏番組の『ステーション・ニュース』の鵜目広志が年収2億円、隣で下手なニュース読みしている渡野辺真里が年収八千万円” 。これもどこか他で聞いたことがあります。もっと高かったような気が…。
他にもいろいろと暴露的要素がちりばめられ、これらはどうも業界の真実のようで、へ〜、と思いながら、おもしろく読みました。
主人公の打つ手が当たり、番組の評判が上がり始めた時に、視聴率操作の疑惑が発覚します。後はお楽しみ。
ダイヤモンド経済小説大賞
の佳作を受賞した作品で、確かにおもしろくて一気に読めるのですが、本音をいうと、もっと劇的な展開や複雑なストーリーが欲しかったですね。あるいは逆にまじめに批判した新書のようなものを書いて欲しかった。いずれにしろ、次を期待したい著者なんですが…。
ダイヤモンド社のサイトで、最初の10ページほど読むことができます。興味のある方はご覧下さい。
⇒ 『虚飾のメディア- 小説巨大テレビ局
』北岳登 (立ち読み)
視聴率を上げることが至上命令だというのは、予想通りなんですが、だからといって広告代理店や親会社の新聞社とのつながりなど、あまりにも巨大な組織、莫大なお金が関係しており、とてもひとりのプロデューサーで何とかなる問題じゃないんですね。
テレビ局間の視聴率争いは熾烈ですが、結局新規参入のない世界ですから、やりたい放題なんでしょうね。ギャオやWOWOWが民放テレビ局と同じように見られるようになれば、かなりのインパクトになると思うのですが…。オウム事件報道で、“TBSは死んだ” と筑紫哲也氏は言い切っていましたが、どこか変わったのでしょうか。
昔は特定の娯楽番組の子どもに対する悪影響を心配したものですが、ニュースや情報番組まで、ここまで質が落ちたり、ウソの情報をたれ流されたのでは、子どもだけでなく、視聴者全体の知的レベルに影響が出るはずです。
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『虚飾のメディア- 小説巨大テレビ局』北岳登
ダイヤモンド社:252P:1680円
