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2007年07月11日

『オール1の落ちこぼれ、教師になる』 宮本延春


オール1の落ちこぼれ教師になる.jpg

 

ヤンキー先生” こと義家弘介氏が、自民党から参院選比例区に立候補するそうです。驚きましたね。義家氏には教育再生会議での活躍を期待していただけに、残念です。伊吹文部科学大臣がちょっとしたいやみを言ったそうですが、正直、私も釈然としません。

そのために、“教育再生会議” の委員を辞任したわけですが、その後任が “オール1先生” と呼ばれる本書の著者、宮本延春氏です。

“ヤンキー” のあとがまが “オール1”!? まるでドラマのシリーズものの続きでも見ているようで、話題つくりが先行してしまっている印象です。少し心配なのですが、有名人を揃えることで教育に対する世論の関心を高める効果があるのでしょうか。


それはともかく…、

本書は良いです。宮本氏が政府の機関に属してどこまで活躍できるかは知る由もないのですが、宮本氏のような考え方がひとつでも多くの教育現場で実践されることを願います。

書名からわかるように、宮本氏はオール1の通知表をもらうくらい小学校・中学校の勉強がわかりませんでした。ひどいいじめなどによって、不登校になり、家庭内暴力や貧困にあえぎながらの生活だったようです。

高校進学など夢のまた夢、中学卒業後は大工の見習いになりますが、さらにひどい職場のいじめにあいます。16歳の時に母が亡くなり、職を転々としている時期にラーメン屋だった父も病死。兄弟もいないため18歳で天涯孤独の身になります。


その少し前、部屋にこもり、自分の人生の目標を考えに考えて出した結論が音楽活動で食っていくこと。フリーターをしながらバンド活動に没頭するもやはり現実は厳しい。やがてその仲間の紹介してくれた建設会社のアルバイトで働くうちに、これまでとは違う心優しい人々に出会い、仕事の楽しさをはじめて経験し、転機を迎えます。

そこの社員となり、仕事に必要な資格を取るために九九を覚えなおし、勉強が始まります。人生の目標が変わります。仕事と勉強に熱中し、バンドは楽しみながら。昔からやっていた少林寺拳法に励む。そんな充実した生活を送れるようになったころ、さらに目標を劇的に代えてしまったのがアインシュタインを扱ったテレビ番組。

彼女(今の妻)が貸してくれたそのビデオを見て、科学や自然の不思議さに打たれ、23歳で小学校3年生の算数ドリルから勉強を始め、仕事を続けながら定時制高校に入学します。

そこでも、ちょっと信じられないくらいの暖かい先生たちの励ましや、楽しい仲間に出会い、人生ではじめて、楽しい学校生活を送ります。どんどん学問にひかれていき大学受験を決意。

寸暇を惜しむ不断の努力と、周囲の暖かい協力を得て、見事、難関の名古屋大学に合格します。9年間研究に没頭し、大学院卒業後、36歳で母校の教師なるというストーリーなのです。


目次です。

第1章 オール1の落ちこぼれ先生―オール1先生の授業

第2章
 どん底の十代で考えたこと―“いじめ”と“学校嫌い”

第3章
 アインシュタインとの出会い―アインシュタインと彼女

第4章
 定時制高校での猛勉強―目標は超難関大学

第5章
 オール1から大学受験へ―大学受験

第6章
 なぜ勉強するのか―大学生活

第7章
 オール1教師の学習法―落ちこぼれの勉強法


大変読みやすく感動的な一冊で、小学生から大人まで手に取ることのできる内容だと思います。九九さえ覚えていない、中学を出た時に知っていた英単語は、本屋の看板で覚えた book のみというのです。

ここから、塗炭の苦しみを味わいながら、猛勉強で自分の道を切り開いたわけです。もちろん人並み以上の頭脳と努力をいとわないまじめな性格があればこそなんでしょう。

本書を読んだだけでは、どうして多感な若者がこんな苦しみにぐれることなく耐えられたのか、素直な気持ちを失わずにいられたのかわかりませんが、やはりキーワードは 『夢』 や 『目標』 ということのような気がします。

最後に紹介されている勉強方法にしても、いわゆる“王道”です。周囲のアドバイスもたくさんあったのでしょう。さまざまな工夫がされ参考になりますが、特別なテクニックがあるわけではありません。

全編を通じて、『目標』 を持つことの大切さ、それに向けて 『学ぶ』 ことの意義を生徒たちに伝えたい気持ちがあふれています。

現在は先生ですから、通知表を付ける側ですが、やってもできない子には徹底的に付き合うが、やらない生徒には1を厳しくつけるそうです。

いじめなどによって、夢や希望を失ったまま生きている生徒の力になりたい、そして本書を読んだ人の人生に少しでもヒントを与えたい、そんな気持ちを感じる一冊でした。
 


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オール1の落ちこぼれ、教師になる
            
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posted by VIVA at 14:58| Comment(0) | 日記
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